DEFIANCE/アメリカ
監督:エドワード・ズウィック
原作:ネハマ・テク『ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟』(訳 小松伸子/ 武田ランダムハウスジャパン)
<主なキャスト>
トゥヴィア・ビエルスキ:ダニエル・クレイグ
ズシュ・ビエルスキ:リーヴ・シュレイバー
アザエル・ビエルスキ:ジェイミー・ベル
リルカ:アレクサ・ダヴァロス
ハレッツ:アラン・コーデュナー
……etc
第二次世界大戦下の西ベラルーシを舞台にした戦争映画。日本では2009年2月に劇場公開された。原作はネハマ・テクの小説『ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟』。西ベラルーシでユダヤ人狩りから逃れた1,200人のユダヤ人を救った実話を基にした作品。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下のポーランド東部(現在の西ベラルーシ)でユダヤ人狩りを生き延びたビエルスキ家の4人兄弟(トゥヴィア、ジュス、アザエル、アーロン)によって組織されたバルチザン(占領支配に抵抗するために結成された非正規軍)。
1941年6月にドイツはソビエト侵攻を開始する。ドイツ軍は、現在の西ベラルーシを占領した。そこでもナチスによるユダヤ人迫害が起こり、ナヴァフルダク地区では1941年7月から1942年の春の終わりまでに数千人のユダヤ人がドイツ当局によって殺害されたと伝えられる。同地区内のゲットーに監禁されたユダヤ人も、翌年までにゲットーは一掃され、住民たちも殺害されたとされる。
ビエルスキ家はスタンキェビッチに住むユダヤ人の農家で、ユダヤ人狩りによって両親を殺された4人の兄弟は、バルチザンを結成する。生き残ったユダヤ人やソ連のパルチザンと連帯していた他のバルチザンも参加し、規模は大きくなり、ドイツ軍から奪った兵器やソ連のパルチザンなどから提供された武器によって強力なものとなる。リーダーとなったトゥヴィアは、ユダヤ人同胞を救うことを使命と考え、迫害される多くのユダヤ人を招き入れ、匿った。戦後まで、ユダヤ人の共同体を隠れて維持し続け約1200人のユダヤ人を救ったという。
ビエルスキ・パルチザンは当時の抗ドイツのユダヤ人パルチザンの中でも最も規模の大きな組織の一つだった。今日のポーランドでは「ユダヤ人を守り抜いた英雄的行為」と賞賛する声がある一方、「ソ連のパルチザンと組んで非ユダヤ人から略奪を繰り返した山賊行為にすぎない」という見方もあり、評価が分かれるという。
1941年。東欧のベラルーシにもナチスが侵攻し、ナチス親衛隊と地元警察によりユダヤ人狩りが始まっていた。ユダヤ人のトゥヴィア、ズシュ、アザエルの3人の兄弟の両親もまた、警官によって殺害され、兄弟も追われることになった。兄弟が逃げ込んだリピクザンスカの森の中には、すでに多くのユダヤ人が隠れ住んでいた。やがて両親を殺した犯人への報復を果たした兄弟だったが、それでユダヤ人が迫害される状況が変わるわけではなかった。
兄弟のもとには日に日にユダヤ人たちが集まるようになる。銃を手に、食料を武器を調達するビエルスキ兄弟は、集まった者たちでビエルスキ・バルチザンを結成し、ナチスやユダヤ人迫害に加担する者たちへの抵抗運動を開始する。食糧不足や未来への不安から仲間内でもいざこざが起き始める。皆で生き延びるのが復讐だと諭す長兄トゥヴィアだったが、トゥヴィアと弟のズシュとの間で確執が深くなり、ズシュは袂を分かち一部の仲間を連れてロシアン・バルチザンのもとに身を投じる。
1200名のユダヤ人を救ったビエルスキ兄弟の実話を追った感動物語。史実をベースにしつつも映画的脚色は忘れず、娯楽映画としても成立している良作。物語の中心は、3人の兄弟の成長であると感じた。特にジェレミー・ベルが演じる三男のアザエルが物語序盤の上の兄弟の間で右往左往している印象から、最後はみんなを引っ張っていくような成長ぶりが格好いい。見終わって独りで生きていくのはとても難しいが、皆で生きていくのはもっと難しい――そんな印象を受けた。その中で、孤軍奮闘する長兄の姿は、リーダーとはどうあるべきかを考えさせられる。